監修のことば

監修のことば

東海大学医学部 乳腺・内分泌外科 新倉直樹 先生

乳がん患者さんとQOL

乳がん患者さんの多くが、治療や副作用に対する不安、再発への恐怖などを抱えており、それが不眠や孤独感を招き、QOL(生活の質)の低下につながっているといわれています。しかし残念ながら今の医療では、そうした患者さんの不安や苦しみを解決する有効な手段は見つかっていません。

ヨガの目的は、さまざまなポーズや呼吸法を通して自己の心と身体を見つめ、今のありのままの自分を受け入れることによって、精神的な平穏を得ることにあります。
そうしたヨガの効果が、がん患者さんの不安や苦しみを和らげ、QOL(生活の質)の向上に結びつけられるのではないかというのがメディカルヨガの観点です。

メディカルヨガへの期待

ヨガの発祥地はインドですが、心と体のケアを目的に欧米でも広く親しまれており、日本でも広まってきています。

2012年にアメリカで発表された研究では、ホルモン療法を受けているがん患者さんが、ヨガを行うことによって関節や筋肉の痛みを和らげることができたという結果が出ています。2)また、不眠に悩む患者さんが、週2回のヨガを4週間にわたって行ったところ、睡眠の質が改善したという研究3)もあります。


いま行われている臨床試験によって、「ヨガが乳がん患者さんによい影響を与える」という結論が得られた場合、近い将来、科学的な根拠をもって、もっと積極的に患者さんにヨガを勧めることができるようになるでしょう。乳がん専門医の一人として、その日が訪れることを大いに期待しています。

1)独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター: http://ganjoho.ncc.go.jp/public/index.html

2)Abs# 9028, Luke J Peppoone, et al, ASCO 2012, Poster Discussion Session, Patient and Survivor Care

3)Mustian KM, Sprod LK, Janelsins M, Peppone LJ, Palesh OG, Chandwani K, Reddy PS, Melnik MK, Heckler C, Morrow GR: Multicenter, randomized controlled trial of yoga for sleep quality among cancer survivors. J Clin Oncol. 2013, 31(26):3233-41.

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